地銀行員日記

中堅地方銀行に勤める30代中堅行員です。仕事のことや、金融・地方創生関連の書籍の感想などを綴ります。

金融機関の企画・改革をどう進めるか

私はここ数年、銀行本部で企画職に従事しています。

大きな組織の中で何かを変えるのは大変だが、得るものも多いというお話です。

近年、金融機関においてはDXやら新規事業やら、厳しい低金利時代を乗り越えるためのウルトラCを求める活動が盛んです。

私が勤める銀行も例外ではなく、ここ数年矢継ぎ早にデジタル化、改革、DXといった言葉を使って数々の企画を推進しています。私もこの4~5年間で10近くの企画を起案・実施してきました。

銀行で何かしらの企画を推し進めるためには、所属部署だけではなく営業店や本部の他部署を巻き込んでいく必要があります。企画案を説明して、「おーそれはいいね、ぜひやろう!」となることは、これまで経験したことがありません。

企画自体が悪いということではなく、「案自体はいいと思うが、今は人員が不足していてできない」とか、「いいと思うがそれは我々のやるべきことではない」といった意見が多いです。

(私が勤める銀行だけかもしれませんが)多くの銀行員は今やっている業務が変わるということに対して、拒絶反応を示すんだなと思いました。

ちょっとした改善案でも、「言い出した奴がやればいい」となって、やって当たり前、できても何のプラス評価にもならない、そんな感じです。
仕事が増えるだけで表かもされないんだから、できるだけ新しいことはやりたくないんでしょうか。

そうはいっても私は企画担当ですから、あらゆる手を使って関係部署を説得していかなければなりません。
まあ、決裁権限者をうまく取り込めれば組織として然るべき手続きを経て企画を実行できますから、主に決裁権限者の説得に注力することになります。

たとえ組織的な承認が得られても、めでたしめでたし、というわけにはいきません。企画が通れば、それを実行に移すために実務者と一緒に進めていく必要があります。

この実務者たちがまた曲者です。「なんでこんなことをやるんだ」とか、「自分たちはやりたいなんて言っていないのに仕事を押し付けられた」とか、けっこう文句を言ってきます。

心の中で「そんなに嫌なら銀行辞めろよ。銀行に残り続けるなら指示に従えよ。」と思いつつ、笑顔で適当に相槌を打ったりしながらやり過ごします。

なぜ銀行には、こんなにも自分の責任が及ばないことに対して文句を言う(その割に対案は出さないし、特に行動に移すこともない)人が多いんでしょうか。

そんなわけで企画職はなかなかストレスがたまる仕事ですが、少し前から「思い通りにいかないのが当たり前。思い通りにいかないからこそ自分が携わる意味がある」という意識に変わってきました。

当然ですが、誰でもできる仕事にはそれほど価値がありません。できたからと言って社内の評価が上がるわけではなく、また転職するとしても実績として物足りないでしょう。

困難な仕事を遂行したからと言って社内評価が上がるとは限りませんが、困難であればあるほど経験値が上がりますし、業務能力も向上します。

経験値は確実に次の仕事で活かせますし、業務能力が上がればより困難な企画に挑戦できるかもしれません。あれこれ言われるのは大変ですが、それだけ人に影響を与えうる仕事に携われているんだと思ってポジティブに取り組んでいこうと思います。